アヒルの子コラム

2026.11.04

よく咬むことは、子どものお口を育てること

「うちの子は、あまり咬まずに飲み込んでいる気がする」「食事にとても時間がかかる」「硬いものを嫌がる」。お子さんの食事を見ながら、そう感じたことはありませんか。

 

咬むことは、食べ物を細かくするだけの動作ではありません。前歯で食べ物を適切な大きさに咬み切り、舌で奥歯へ運び、頬や唇も使いながらすりつぶし、唾液と混ぜて飲み込みやすい形にする。一見簡単に見えますが、実際には歯・舌・唇・頬・顎を協調させる複雑な運動です。

 

「硬いものを食べればよい」とは限りません

咬む力を育てようとして、急に硬い食品を与えればよいわけではありません。大切なのは、お子さんの年齢や歯の生え方、現在の食べる力に合った大きさや硬さの食事を経験することです。

 

まだ十分に咬めない子どもに硬すぎるものを与えると、口から出したり、丸飲みしたり、食べること自体が嫌になったりする場合があります。反対に、いつまでも細かく刻んだものや軟らかいものだけを食べていると、前歯で咬み切り、奥歯ですりつぶす機会が少なくなります。

「何回咬んだか」だけではなく、どの歯を使い、舌がどのように動き、唇を閉じて食べられているかを見ることが大切です。

 

食事中のこんな仕草はありませんか?

食べる機能の発達は、日常の何気ない仕草に表れます。

・食べ物をよくこぼす

・口にたくさん詰め込む

・ほとんど咬まずに飲み込む

・いつまでも口の中に食べ物が残っている・食事が極端に早い、または長くかかる

・水やお茶で食べ物を流し込む

・前歯で咬み切らず、最初から奥歯で食べる

・片側ばかりで咬んでいる

・食事中に口が開き、クチャクチャと音がする

一つ当てはまるだけで、すぐに異常というわけではありません。ただし、同じ状態が続いている場合には、歯の生え方や噛み合わせだけでなく、舌の位置、唇を閉じる力、鼻呼吸ができているかなども確認する必要があります。

 

咬み方と歯並び、呼吸はつながっています

食べるときに口を閉じること、舌を適切に動かすこと、左右の奥歯を使うことは、それぞれ別の問題ではありません。口呼吸が習慣になっていると、食事中も唇を閉じにくくなることがあります。また、舌の位置や飲み込み方の癖が、歯並びや噛み合わせと関係している場合もあります。ただし、「よく咬めば歯並びがよくなる」と単純に言い切ることはできません。歯並びには、顎の成長、歯の大きさや本数、遺伝的な要素、呼吸、舌や唇の使い方など、さまざまな条件が関係しています。だからこそ、咬むことだけを切り離さず、お口全体の成長として見る必要があります。

 

食卓は、お口の成長に気づける場所です

年末年始は、家族で食卓を囲む機会が増える時期です。「もっとよく咬みなさい」と注意する前に、お子さんがどのように食べているかを少し観察してみてください。

 

前歯で咬み切れているか。左右の奥歯を使っているか。唇を閉じて食べているか。食べ物を水分で流し込んでいないか。こうした様子から、お口の成長を知ることができます。

 

アヒルの子歯科では、むし歯や歯並びだけでなく、咬む・飲み込む・話す・呼吸するといったお口の機能も確認しています。気になる仕草があるときは、ご家庭だけで直そうとせず、定期健診の際にお聞かせください。お子さんの成長段階に合わせて、食べ方やお口の使い方を一緒に考えていきます。

 

【参考資料・文献】

公益社団法人日本小児歯科学会「口腔機能発達不全の治療に関する重要なお知らせ~口腔機能を育てる治療と矯正治療との関係について~」、日本障害者歯科学会雑誌「摂食嚥下専門外来において口腔機能発達不全症と診断された患者の実態調査」、農林水産省「食育ガイド」

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