アヒルの子コラム
2026.10.17
乳歯は、いずれ抜ける歯。 それでも治療が必要な理由
「乳歯は、いずれ永久歯に生え替わるのだから、むし歯になっても問題ないのでは?」
そのように考える方がいるかもしれません。
確かに、乳歯は成長とともに役割を終え、やがて抜けてなくなります。しかし、乳歯は単なる「一時的な歯」ではありません。その下で育っている永久歯と、将来の歯並びやかみ合わせを守るために、大切な役割を担っています。
小児歯科の本質は、乳歯だけを治療することではありません。健全な永久歯を獲得できるように、現在の乳歯を適切に管理し、治療することにあります。
乳歯には大切な役割があります
乳歯には、食べ物をかむだけでなく、正しく発音する、あごの成長を促す、永久歯が生えてくる場所を確保するといった役割があります。
乳歯のむし歯を放置すると、痛みが出たり、食事が取りにくくなったりすることがあります。むし歯が進行すれば、歯の根の周囲に炎症を起こし、その下で育っている永久歯に影響を与える可能性もあります。
また、乳歯を本来の時期より早く失うと、周囲の歯が空いた場所へ動き、永久歯が生えるためのスペースが不足することがあります。結果として、歯並びやかみ合わせに影響する場合があります。
「いずれ抜ける歯」であっても、適切な時期まで、その役割を果たしてもらうことが大切です。
小児歯科医が診ているのは、その先にある永久歯
小児歯科医が診ているのは、目の前にある一本の乳歯だけではありません。
その乳歯の下で育っている永久歯、これからつくられる歯並びやかみ合わせ、そして、その子が成人したあとのお口まで見据えて診療しています。
一般的な歯科治療では、治療した歯や修復物が長く残ることが、一つの成果になります。
一方、小児歯科では、歯科医師が治療した乳歯も、成長とともに役割を終え、やがて抜けてなくなります。「自分が治療した歯が、いずれ抜けてなくなる」という点は、小児歯科ならではの特徴です。
しかし、それは治療が無駄になったということではありません。
治療した乳歯が適切な時期まで役割を果たし、そのあとに、むし歯のない健全な永久歯が生えてくる。それこそが、小児歯科における理想的な結果です。
治療の痕跡が消えたあとに、健康が残る
小児歯科医が残そうとしているのは、治療した乳歯そのものではありません。
そのあとに生えてくる健全な永久歯と、正しい歯みがき、食生活、定期受診など、自分のお口を自分で守る習慣です。
治療した乳歯はいずれ抜け、治療の痕跡もなくなります。しかし、その子がむし歯のない永久歯を獲得し、自分でお口の健康を守れるようになれば、小児歯科医療の目的は達成されたといえます。
治療の痕跡が消えたあとに、健康だけが残る。
そこに、小児歯科医療の大きな価値があります。
乳歯のむし歯を、そのままにしないために
アヒルの子歯科では、現在ある乳歯のむし歯だけでなく、その下で育っている永久歯や、これからの歯並び、かみ合わせまで考えて診療しています。
乳歯のむし歯、歯の生え替わり、永久歯が生えてこない、乳歯が早く抜けたなど、気になることがありましたらご相談ください。
乳歯を守ることは、その先にある永久歯と、子どもの将来のお口を守ることです。
参考エビデンス
・ Does Early Childhood Caries Increase Caries Development in Permanent Teeth? A Systematic Review and Meta-Analysis
・ Early Childhood Caries and Caries Experience in Permanent Dentition: A 15-year Cohort Study
・ Effect of Premature Loss of Primary Teeth on Prevalence of Malocclusion in Permanent Dentition: A Systematic Review and Meta-Analysis
