アヒルの子コラム
2026.09.16
76.9 FM-Hi! ラジオに出演しました 〜見逃したくない”口呼吸”というサイン〜
7月8日 (水) 12:30〜 [76.9 FM-Hi!]
お口の健康!歯っぴーらいふ!!
エフエムしみず静岡(S -Wave)
当院の鈴木亜梨紗が、番組に出演し、お口の健康についてお話をしてきました。
今回は、その中でお話した内容を一部ご紹介させていただきます。
むし歯が減った今、見逃したくない「口呼吸」というサイン
1970年代は、「乳歯う蝕の洪水」と呼ばれた時代でした。
高度経済成長のなかで生活は豊かになりましたが、むし歯予防の知識はまだ十分に広まっておらず、多くの子どもたちがむし歯に悩まされていました。
しかし現在、子どものむし歯は大きく減少しています。私自身、歯科医師になったばかりの頃は毎日のようにむし歯の治療をしていましたが、その数は年々少なくなってきました。
その一方で、日々子どもたちを診ていると、以前とは違う問題が目につくようになりました。
口がいつも開いている。鼻ではなく口で呼吸している。舌が本来あるべき位置に収まっていない。いわゆる「口呼吸」のサインです。
むし歯だけでなく、お口の使い方を見る時代へ
むし歯が減ったからといって、子どものお口の問題がなくなったわけではありません。
歯並びだけでなく、唇を閉じる、舌を動かす、噛む、飲み込む、鼻で呼吸するといった
「お口の機能」を見ることが、これまで以上に大切になっています。
最近では、「お口ポカン」という言葉を耳にすることが増えました。
先日、助産師さんとお話しする機会があり、「お口ポカンという言葉ばかりが先に広まり、実際には何が起きていて、何が問題なのかが分からない」というご質問をいただきました。
まず知っていただきたいのは、お口ポカンだけが口呼吸のサインではないということです。
「お口ポカン」以外にも表れるサイン
お子さんに、次のような様子はありませんか。
・何もしていないときに口が開いている
・口を閉じたとき、唇を自然に閉じられない
・口を閉じると、下唇の下に梅干しのようなシワができる
・上唇が富士山のような形に見える
・会話をしているときに口が開いたままになっている
・呼吸をするときに肩や胸が大きく動く
そのほかにも、次のような様子が見られることがあります。
・朝起きたときに口が乾いている
・朝の口臭が気になる
・寝起きが悪い
・寝ているときにいびきをかく
・寝相が悪い
・唇がいつもカサカサしている
・食べるときに音を立てる
・花粉症やアレルギー性鼻炎がある
これらは、すべてが口呼吸だけによって起こるものではありません。
また、一つ当てはまるからといって、すぐに問題があると判断できるものでもありません。
ただ、その背景に「鼻で十分に呼吸できていない」「唇を自然に閉じられない」「舌がうまく使えていない」といった問題が隠れていることがあります。
大切なのは、一つの症状だけを見るのではなく、普段のお子さんの呼吸や食べ方、眠っているときの様子を見てあげることです。
口呼吸とお口の健康
口で呼吸をすると、乾いた空気が直接口の中に入り、口や喉が乾燥しやすくなります。
唾液には、口の中を洗い流し、むし歯や歯肉炎などからお口を守る働きがあります。そのため、口の中が乾いた状態が続くことは、お口の健康にとって好ましいことではありません。
また、口呼吸をしているときには、舌が本来あるべき上あごの位置から下がっていることがあります。舌、唇、頬は、歯を内側と外側から支えています。
その力のバランスは、成長期の歯並びや顎の発育とも深く関係しています。
口呼吸や舌の位置だけで、すべての歯並びが決まるわけではありません。
歯の大きさ、顎の形、遺伝的な特徴、指しゃぶりなどの癖、鼻づまりをはじめとするさまざまな要因が関係します。
それでも、舌が上あごについているか、唇を無理なく閉じられるか、
鼻で自然に呼吸できているかは、子どものお口の成長を見るうえで大切なポイントです。
見た目だけでは分かりにくい歯並びもあります
歯がガタガタしている、出っ歯になっている、
受け口になっているといった歯並びは、見た目にも比較的分かりやすいものです。
一方で、上の前歯が下の前歯に深く被さる「過蓋咬合」は、保護者の方が気づきにくいことがあります。
乳歯の歯並びでは、歯と歯の間に適度な隙間があることが、
これから永久歯が生えてくるためにも望ましい状態とされています。
ただし、隙間がないから必ず歯並びが悪くなる、舌に歯型があるから必ず口呼吸である、というように、一つの特徴だけで判断することはできません。
歯並びだけでなく、口を自然に閉じられるか、舌をどのように使っているか、
食べ物をどのように噛んで飲み込んでいるかまで含めて見ることが大切です。
鼻で呼吸できない原因が隠れていることもあります
「口呼吸をやめさせなければ」と考えて、
無理にお子さんの口を閉じさせることは適切ではありません。
アレルギー性鼻炎や慢性的な鼻づまり、扁桃やアデノイドの問題などによって、
鼻で呼吸しにくくなっていることがあるからです。
鼻が通っていなければ、口を閉じたまま呼吸することはできません。
まずは、なぜ口が開いているのか、なぜ鼻で呼吸しにくいのか、
その原因を確かめる必要があります。
口が開いている状態が続く、いびきをかく、眠りが浅い、鼻づまりが治らないといった様子がある場合は、かかりつけの小児歯科にご相談ください。
必要に応じて、小児科や耳鼻咽喉科と連携して確認することも大切です。
まずは、お子さんの呼吸を見てみましょう
口を閉じて、鼻でゆっくり、優しく呼吸をすること。
それは、お子さんのお口の成長にとって大切なことであり、
健やかな毎日を支えることにもつながると、私は考えています。
静岡には、たくさんの助産師さんがいらっしゃいます。
赤ちゃんは、生まれて産声を上げた瞬間から、生きるための呼吸を始めます。
その呼吸を、歯科も成長とともに見守っていく。そこには大きな意味があるのではないでしょうか。
人生100年時代といわれる今、海の幸、山の幸に恵まれたこの静岡の地で、子どもたちに健やかに成長してほしい。そして、その健康をできるだけ長く守ってほしいと願っています。
まずは今、お子さんがどのように呼吸しているか、
そっと見てみるところから始めてみませんか。
気になることがあれば、かかりつけの歯科医師や小児歯科専門医にご相談ください。
※この記事は、当院の鈴木亜梨紗先生が静岡のFMラジオでお話しした内容をもとに、コラム用に再構成したものです。口呼吸や歯並びには複数の要因が関係しており、現れ方には個人差があります。
